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裁判所が判断する離婚の理由

民法に規定されている(裁判所が判断する)離婚の理由が以下の5つです。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病であり、かつ回復の見込みがない
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由がある

■不貞行為について

「不貞行為」=「浮気」です。ただし、裁判上の不貞行為(浮気)は一般的なイメージの浮気とは違っていると思われます。離婚裁判で問題となる不貞行為は、配偶者以外の者と肉体的な関係をもったかどうかになります。またこの不貞行為は、ある程度継続的な関係が続いていなければ認められません。一度きりの浮気の場合、不貞行為を働いた一方が深く反省をしている場合には離婚が認められないケースも少なくありません。

ただし1回きりの浮気でも相手が妊娠したり、日常的に不特定多数の相手と関係を持ったり、家計の圧迫や借金をしてまで風俗店に通うなど、それが結婚を継続できない重大な理由に当たると裁判所が判断すれば、離婚が認められます。

■悪意の遺棄について

夫婦の間には、共に生活し協力しなければならない「同居・協力義務」というものがあります。この義務を一方が放棄した行為が「遺棄」です。例えば、一方が愛人と生活を共にし配偶者のもとに戻らない場合、別居期間中の生活費を入れない等、配偶者が経済的・精神的に困難になるであろうことを本人が理解していながら放っておくことが「悪意の遺棄」です。以下のような行為が行われた場合等に該当するとされています。

  • 故意に同居や夫婦生活の協力を拒否する
  • 給料(生活費)を入れない
  • 虐待・暴力行為を行う
  • 正当な理由もなく、何日も家に帰らない
  • 何の支障もないにもかかわらず働こうとしない

なお、3に挙げる「虐待・暴力」には、肉体的暴力だけでなく精神的な暴力(言葉や態度による虐待、無視など)も含まれます。また、配偶者間だけでなく、一方の配偶者から子供に対して暴力がある場合も含まれ、そのために夫婦関係が破綻し修復はできないとみなされれば、離婚が認められます。

■3年以上の生死不明 について

厳密に「生死不明」であることが求められます。このため「稀に電話や差出人住所不明の手紙等で連絡はあるが、所在地が分からない」といった場合には、生きていることは確認できるため「生死不明」には該当しません。

■強度の精神病であり、かつ回復の見込みがないについて

精神病については法律的にも社会的にも見地が広がって来ました。裁判所は「強度の精神病を患い、回復の見込みがない」という事象について厳しく捉えており、単に精神病院に入院したからといって、それだけで離婚が認められることはありません。

逆に、精神病を患った配偶者の離婚後の療養や経済的配慮がなされなければ、離婚は認めるべきではないとの判例も多く、「強度の精神病」を理由に離婚を認めてもらうには、それ相応の理由が必要になります。

■婚姻を継続しがたい重大な事由があるについて

この点については少し幅がありますので、個々の事案に応じて弁護士等に相談することをお勧め致します。

また、この事由の中で該当しそうな事柄が借金です。ただ、借金については夫婦財産制度にあるように、日常家事債務については夫婦で連帯責任を負うことになっています。住宅ローンなどはこの日常家事債務に該当するので、リストラなどで住宅ローンが払えなくなったというだけで裁判所が離婚を認めることはありません。

逆に日常家事債務には当たらないぜいたく品の購入やギャンブルなどで発生した借金が、返済不能にまでふくらんだ場合でも単に返済不能な大きな借金があるというだけでは離婚は求められません。ただし、借金が原因で夫婦関係がすでに破綻していると判断されれば、離婚判決を下すでしょう(悪意の遺棄に該当するような場合)。

なお、借金から逃れるために、本当は離婚する気がないのに形式上の離婚(偽装離婚)をして、妻に全財産を渡すなど不自然な財産分与をした場合には、債権者から詐害行為に当たるとして、財産移転の無効や取り消しを裁判所に申立てられ、認められる可能性が高くなります。