TOP > 離婚の豆知識 > 取り決めたお金が払われない?!
婚姻費用や慰謝料、財産分与、養育費といったお金の約束は、約束をしたからといって安心はできません。正当性の有る無いに関わらず、様々な理由で約束が守られない場合があるからです。
毎月の養育費の支払い等、支払いの催促をしてすぐに支払ってもらえれば良いのですが、相手に支払う意思がまったくないということもあります。このようなトラブルを回避するためには、法的に有効な手続きを事前に行っておくことが大切です。
繰り返しになりますが、必ず離婚協議書は書いておくようにしましょう。個人間で作成した合意書は法的な強制力はありませんが、裁判で有効な証拠として扱われます。とはいえ、当サイトでは公正証書にしておくことをお勧めしております。公正証書は「金銭債務の支払いを履行しないときは、直ちに強制執行に服する」等の強制執行受諾文言を記載しておくことで、裁判の確定判決を待たずに強制執行を行うことが可能だからです。
■裁判所による履行勧告
調停や審判、裁判の判決で金銭の支払いが決まっている場合、裁判所に支払いが滞っていることを報告し、裁判所側から支払いの催促を行ってもらうことができます。この裁判所が行う催促のことを履行勧告といいます。
相手が履行勧告に従わない場合は、更に裁判所は履行命令を出します。 正当な理由がなく履行命令に従わない場合は、10万円以下の過料に処せられます。
以上の履行勧告と履行命令の手続きには、手数料もいらず電話で対応してもらえます。
■寄託制度の利用
調停や裁判で離婚をした場合、金銭のやり取りを相手とするのではなく、裁判所に間に入ってもらい金銭を受け取る方法もあります。 この寄託制度では、支払い義務者の金銭を裁判所が預かり、受取者は相手と接触することなく金銭を受け取ることができます。
寄託制度は、調停や裁判の際に申し出てても、離婚成立後に支払いの滞りが続いたときにでも利用することが可能です。但し、寄託制度を利用するには、相手が裁判所に金銭の支払いを受託することに同意する必要があります。
■強制執行について
離婚に際し決定した金銭の取り決めを相手が守らない場合、最終的な方法として相手方に強制執行を行うことができます。強制執行を行えば、以下のような相手方の収入や財産を差し押さえ、そこから金銭を回収することができます。
- 給与、賞与(会社勤めの場合)
- 会社の売上(自営の場合)
- 動産(家財道具、自家用車など)
- 不動産(土地、建物)
- 預貯金
強制執行の手続きを行うには、対象となる以上の物の詳細を把握しておかなければなりません。例えば、給与を差し押さえる場合は相手の勤め先、預金を差し押さえる場合は預金のある銀行、支店、口座番号が分からなければ差し押さえることはできません。
強制執行の手続きは、誰でも簡単にできるものではなく、債務名義書類がなければ手続きそのものができません。債務名義書類とは、強制執行に同意した強制執行受諾文言の記載のある公正証書、調停や裁判で作成された調停調書や判決書などのことです。強制執行の申し立ては、相手方の住んでいる地域を管轄する地方裁判所に行います。
養育費未払いによる給料の差し押さえは民事執行法で、給料の50%までが天引きする形で毎月養育費等を確保、受け取ることができるようになっています。