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不倫相手に対する遺贈

不倫関係にあった女性に全財産を遺贈した場合には、当然のことながら配偶者や子供たちから反発があることが予想されます。 もちろん、配偶者や子供たちには遺留分がありますので、それを侵害して不倫相手にすべて遺贈することはできません。

しかしながら、不倫関係を認めるような遺言というのは、そもそも公序良俗に反し、全体として無効ではないかと考えがちです。 しかし、判例を見ると、裁判所は不倫関係にあったからといって一律に無効としているわけではなく、具体的事情を総合的に考慮して判断しています。

■不倫相手に遺贈する遺言の判例について

【 1例目 】
20年間一緒に暮らし、事実上の妻であった女性に全財産を遺贈するという遺言をした場合について、判例はその遺言を無効としています。

ただし、このケースでは、遺産としては建物と借地がほとんどで、その建物に本来の配偶者が住んでいたという事情がありましたので、 遺言を有効としてしまうと、配偶者が住まいを出て行かなければならないということが考慮されたものと思われます。
【 2例目 】
7年間一緒に暮らしていた女性に対して、遺産のうち3分の1を遺贈し、3分の2を配偶者と娘に相続させるとした遺言について、最高裁は、その遺言を有効としています。(昭和61.11.20)

このケースでは、同居していた女性の生計は、亡くなった遺言者に頼っていて、遺言者が死亡後も生活を守る必要があったことや、 同居していた女性に遺贈しても配偶者の生活がそれほど困らないという事情が考慮されたものと思われます。

1例目、2例目それぞれの判例からわかるように、裁判所は、不倫関係にあったからといって一律に無効としているわけではなく、 具体的事情を総合的に考慮して判断しています。

よって、不倫相手に遺贈することが有効であるか無効であるかというのは、結局はケースバイケースであるということがいえます。