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離婚前に専業主婦であったため一定の収入を得ていなかった方が、離婚をきっかけに働き口を探して働くということはなかなか困難な場合も多いでしょう。とはいえ、財産分与や慰謝料、養育費といった離婚給付金だけでは生活が苦しいのも現実です。また、相手も収入がなく、離婚給付金など支払ってもらえないというケースも多くあります。このように生活が苦しい場合には、行政による保護がありますので、この制度を有効に活用して下さい。
■母子家庭への貸付制度
母子家庭への貸付制度(母子福祉資金)は自治体から生活費を借りることが出来ます。各都道府県によってその金額や利子は異なりますが、母子家庭の生活の安定と児童の福祉を目的としているため、低金利で貸付しています。
借入条件は以下の通りです。
- 20才未満の子どもを育てている母子家庭の母であること
- 現在住んでいる都道府県に6ヶ月以上住んでいること
- 保証人がいること
- 収入制限はありません
融資の内容は事業開始のための設備費、就学資金、生活資金、結婚資金にしてもよく、返済は3年から20年以内と、一般的な金融機関の融資に比べてとても有利です。
■児童扶養手当
実質的に一人で子供を育てている母または監護者で、かつ、年収が一定以下の場合は「児童扶養手当」が支給されます。残念ながら父子家庭ではもらうことができません。なお「児童」とは18歳に達した日以後の最初の3月31日までにある者をいいます。
手当額は前年度の所得に応じて、受給額が決まります。ここでいう所得とは養育費も含まれます(子供名義の口座に送金されたものは除きます)。収入から給与所得控除等の控除をした上で、養育費の8割を足した額が所得になります。
また、受給資格の取得から5年以内に、市区町村役場で手続を行わないと、受給資格を失ってしまいますので注意が必要です。実家に戻って普通に働いている親と同居する場合には、児童扶養手当をもらうことはかなり難しくなります。
- ■支給額
- 子供が1人…42,370円(月額最高)
- 2人目の子供…5,000円を加算(月額)
- 3人目の子供から…3,000円を加算(月額)
なお、次の場合には支給されません。
- 子どもを自分で育てず、施設で養育されている場合。
- 本人か子供が障害年金、遺族年金など他の公的年金を受給している場合。
- 子どもが前夫の扶養親族になっている場合。
- 子供が母の離婚後の配偶者(同棲、事実婚も含む)の経済的援助を受けている場合。
- 同居している扶養義務者(子どもの祖父母、親族等)の所得が一定額以上の場合。
- 母または対象児童が日本に住んでいない時。
■生活保護
病気や失業などで生活に困っている人で、かつ資産もなく、親族が助け合っても最低生活すら営めないといった場合に、その人の収入と厚生労働大臣が定める保護基準で算定した最低生活費との差額を支給するというものです。
この生活保護基準は、詳細に定められていますので、最寄の福祉事務所の窓口で確認して下さい。その他、都道府県により手当てや貸付の制度もありますので、市区町村役場の窓口で相談してみて下さい。
■母子生活支援施設(母子寮)
生活上の事情から1人で子どもを養育するのが困難である場合の住居を借りることができます。未婚の母、死別、別居等、離婚以外の方も入寮することが可能です。
この母子寮では、母親よりも子供の生活支援に重きをおいており、母子指導員や少年指導員がいて、生活相談に応じたり、学習指導や母親が働いている間の保育、または乳幼児の保育を行っています。
福祉事務所が窓口となっており、落ち着いた後の生活のこと、公営住宅の優先入居などさまざまな支援制度があります。各自治体によって内容が異なります。
■ひとり親家庭の医療費助成制度
8才未満の子どものいる片親家庭は、親と子どもの医療費が無料もしくは軽減になります。
※この制度の利用には所得制限があります。
対象となる家庭は以下の通りです。
- 児童を監護しているひとり親家庭等の母又は父
- 両親がいない児童などを養育している養育者
- ひとり親家庭等の児童又は養育者に養育されている児童で、18歳に達した日の属する年度の末日(障害がある場合は20歳未満)までの方
扶養親族等 の人数 |
本人 | ※扶養義務者 ・配偶者 |
---|---|---|
0人 | 1,920,000 | 2,360,000 |
1人 | 2,300,000 | 2,740,000 |
2人 | 2,680,000 | 3,120,000 |
3人 | 3,060,000 | 3,500,000 |
4人 | 3,440,000 | 3,880,000 |
5人以上 | 1人につき38万円加算 |
※扶養義務者とは、同居している二等親以内の親族の方をいいます。配偶者とは重度の障害で申請した場合です。なお、児童の父または母から養育費を受け取っている場合は、その8割を所得に含めます。
対象外となる要件は以下の通りです。
- 申請者及び扶養義務者(同一住所に住む二親等以内の親族)の前々年の所得が所得制限以上の場合
- 生活保護を受けている場合
- 申請者及び児童が健康保険に加入していない場合
- 児童が里親に委託されている場合
- 児童が児童福祉施設に入所している場合
- 児童が父及び父の配偶者または母及び母の配偶者と生計を同じくしている場合
なお、健康保険のきかない診療(診断書料、薬のビン代、差額ベッド代等)は医療費助成の対象になりません。
所得要件等は区市町村により異なることがあるため、直接各区市役所・町村役場へお問い合わせ下さい。
■その他の優遇
- 所得税、住民税が軽減されます。
- JRでは、通勤定期券が3割引になります。
- 公営交通の無料乗車券がもらえます。
- 水道料金の減免措置があります。
- 電話設置時に、工事費などの分割払いが認められます。
最近では母子に限らず父子の片親家庭にも同様な優遇を受けることが出来るようになってきました。母子家庭・父子家庭への援助内容・支給要件などは地域によって異なりますので、1度市区町村役場の福祉課等に足を運び話を聞いてみることをお勧め致します。